星峠雲海マラソン

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018

コンセプト

十日町市との出会い

星峠雲海マラソンプロデューサーの一人である成瀬拓也が「大地の芸術祭の里」に行こうと誘われて、十日町市を初めて訪れたのは雪が多く残る2013年3月でした。

一面真っ白な豪雪の冬。最初は「こんなところで暮らしてきたのか、大変だな」という驚きでした。しかし、過疎化の象徴とも思えた十日町市に繰り返し訪れる度に気づきが感覚を変えていきました。

空を紫に染めながら立ち込めていく朝の雲海、幾重にも重なる山なみに沈む夕日、棚田でお米を育てるという苦労と喜び、地元でこそ食べられている新鮮な山菜の美味しさ。十日町市は都会では味わうことのできない里山の豊かな暮らしも色鮮やかに残る地域でした。

季節ごとにその姿を変える自然に内包された人々の暮らし。それをアートを開口部として人を呼び、巻き込み、地域のあり方を再定義しようとしている「大地の芸術祭」。総合ディレクターの北川フラム氏の言葉に胸を打たれたのを覚えています。

世界に誇れる残したい日本の里山の原風景「星峠の棚田」

それから春は田植え、夏は会社で合宿、秋は稲刈りと、何度も友人や仕事関係者を誘い十日町市を訪れるようになりました。来る度に自らの足で大地を感じるべく繰り返し走りました。気がつけば生まれ育ったわけでもない十日町が第二の故郷のような不思議な親近感をもつようになりました。

そして、成瀬の友人であり共に何度も十日町市を訪れていた元マラソン日本代表の加納由理、元競歩日本代表の吉澤永一と「ここでマラソン大会を開催して、多くの人に知ってもらうきっかけを作りたい」と思いを巡らすようになっていきました。アートがきっかけを作れるならば、マラソン大会もきっかけになることができるのではないかと期待を持ちはじめました。

十日町市を代表する棚田である松代地域の「星峠の棚田」は、大小200枚の棚田が斜面に広がり、一切の人工物の無い景色として自然の壮大さを感じせてくれます。しかし、400年以上に前にこの地に移り住み、先祖代々大切に受け継いできた棚田も後継者が高齢化し、存続の危機に晒されています。

十日町市の中でも「松代(まつだい)」や「松之山」をよく訪れていた私は、初めて来た人を必ず連れていっていたのが「星峠の棚田」でした。真っ暗の深夜に宿を出発して日の出のタイミングで星峠の山頂を目指したこともありました。

日本で最も美しいと称されるほどの棚田が存続の危機にある。合理化・効率化の代償として失われるものがあるということを突きつけられたような気持ちになりました。

ならば、自分たちが「人間は自然に内包される」という大地の芸術祭の基本理念を踏襲し、人間と自然がどう関わってきたのか(いくのか)を過疎化・高齢化が進む越後妻有の地域再生の一助となることを目指すのならば、星峠の棚田の風景を走って感じてもらうマラソン大会を企画しようと思い立ちました。

星峠雲海マラソンが目指すもの

しかし、ただマラソン大会を開催するだけでは、人は集まっても打ち上げ花火では意味がない。地元住民の皆様にとっても、主催者にとっても、スポンサー企業様にとっても、ボランティアスタッフにとっても、価値が十分に得られた言える持続可能なマラソン大会を作りたいと思っています。

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